行商の道具
● 行商道具(ぎょうしょうどうぐ)のいろいろ
<男性の行商>
行商道具一式
▲行商道具一式
 昭和(しょうわ)50年(1975)ごろまで使われていた売りっとの行商道具一式です。包丁(ほうちょう)のほか、魚を焼くときの串(くし)なども入っています。
 
 男性の行商は、戦後(せんご)、自転車を使い、まずはじめに貝(主にアサリ)や海苔(のり)・佃煮(つくだに)を売りました。そしてなじみの客ができると、魚やカニなども頼(たの)まれるようになり、魚売りに切り替(か)える人も出てきました。これは魚の方が利益(りえき)が高く、確実(かくじつ)に売れるためです。
 魚売りでは、下段(げだん)の箱(はこ)には、氷をつめて生ものを入れ、中段(ちゅうだん)・上段(じょうだん)には干物(ひもの)やカニ、佃煮を入れて売っていました。
 
<女性の行商>
行商箱[魚売り]
行商箱(ぎょうしょうばこ)[魚売り]
 
 行商の荷物(にもつ)は30キロ以上はあるね。かなり重いからしんどいんだよ。
 でも、お得意(とくい)さんの喜(よろこ)ぶ顔を見たら、疲れなんてふっとんじまうよ。
 
 女性の行商は、箱(はこ)を風呂敷(ふろしき)で包み、帯(おび)でしめて背負(せお)う方法が一般的(いっぱんてき)でした。重さは30キロを超(こ)えることもあるので、大変な仕事でした。
 行商箱の中には新鮮(しんせん)な魚をくさらせないための氷や、カニを保存(ほぞん)するおがくずを入れて運んでいました。また、小さな箱は佃煮(つくだに)入れで、3〜4種類(しゅるい)の佃煮が入るように仕切りがついていました。
 
<アサリ売り>
 子どものアサリ売りでは、ウナギザルを1〜2個持っていくのが一般的(いっぱんてき)でした。