キティ台風が残した傷跡
●堤防(ていぼう)の決壊(けっかい)
 
猫実の堤防決壊か所の様子
▲猫実(ねこざね)の堤防決壊(ていぼうけっかい)か所の様子
現在の堀江4・5丁目あたり。海苔製造場が全壊しています。 このあたりが、町でもっとも土地が低くなっていました。
▲現在(げんざい)の堀江(ほりえ)4・5丁目(ちょうめ)あたり。海苔製造場(のりぜいぞうば)が全壊(ぜんかい)しています。
 
中央公民館前通り。このあたりが、町でもっとも土地が低くなっていました。
中央公民館(ちゅうおうこうみんかん)前通り。このあたりが、町でもっとも土地が低(ひく)くなっていました。  
 
 浦安におけるキティ台風の被害(ひがい)は、高潮(たかしお)による堤防(ていぼう)の決壊(けっかい)によって流れこんだ水の被害(ひがい)といえます。

 『浦安町誌(うらやすちょうし)』上巻(じょうかん)には、「波の高さは2mにおよび、沿岸一帯(えんがんいったい)に強い波のように押(お)しよせたため、堤防(ていぼう)は14カ所、長さを合計すると900mにわたって決壊した」と書かれており、キティ台風の被害の大きさを伝(つた)えています。
 
【高潮とは】
 「高潮」とは、台風などの通過(つうか)によって、海の水位(すいい)が異常(いじょう)に高くなることです。高潮は防波堤(ぼうはてい)を壊(こわ)し、海ぞいの施設(しせつ)や家、人びとの命に大きな被害(ひがい)をおよぼします。
 
●伝染病(でんせんびょう)の発生
 
 キティ台風の通過後(つうかご)、新たに人びとを不安にさせたのが、伝染病の流行(りゅうこう)でした。浸水(しんすい)は、井戸(いど)や便所(べんじょ)までも襲(おそ)い、汚物(おぶつ)やゴミなどがまち全体にあふれ、衛生的(えいせいてき)にもとても危険(きけん)な状態(じょうたい)になりました。
 結局(けっきょく)、1か月の間に赤痢(せきり)の累積(るいせき)患者(かんじゃ)82名、うち7名が死亡(しぼう)するという事態(じたい)になってしまいました。

伝染病注意の回覧〔浦安市永年保存文書箱NO54-4〕『昭和二四年八月卅一日キティ台風関係重要書類綴より』
伝染病注意の回覧(かいらん)
〔浦安市永年保存(えいねんほぞん)文書箱(はこ)NO54-4〕
『昭和(しょうわ)二四年八月卅一(さんじゅういち)日キティ台風関係(かんけい)重要書類綴(じゅうようしょるいつづり)より』
 
 浦安は魚介類(ぎょかいるい)の出荷(しゅっか)によって、生活を成(な)り立たせているヤツが多かったからな。伝染病の発生で商売ができなくなってしまうという、経済的(けいざいてき)な不安も人びとを悩(なや)ませたんだ。